▽前回の記事では、私が調べた情報をまとめさせていただきました。

この記事では、実際に主治医に質問してみて分かったことをまとめます。
妊娠前~妊娠中に、私がラミクタールの服用をどうしてきたか、経験談です。
【結論】ラミクタールを服用しながら妊娠してもOK
私は現在、ラミクタールを1日に 200 mg 服用しています。
医師が私にラミクタールを処方した理由の1つに、私が女だということがあります。
「将来妊娠する可能性もあるでしょうから」と、催奇形性が少ないと言われるラミクタールを選んでくれました。
精神科の主治医の考え方
私は、妊娠するならば『断薬』が必要だと思っていたので、薬を完全に止めるまでの薬を徐々に減らしてゆく期間はどのくらいだと見積もっていれば良いでしょうか、と訊いててみました。
主治医の回答は、「(断薬するまでに必要な期間は)どのくらいという目安はない」でした。
ラミクタールの服用の始めに、患者の様子を診ながら少しずつゆっくり薬の量を増量するのと同じように、断薬するまでの期間は何週間、何ヶ月、と断言できるようなものではないのだと思います。
主治医は、断薬すること自体にも、ブレーキをかけました。
主治医は、妊娠する・妊娠を続けるにあたり『母親の気持ちの安定を優先する』ことを考えていました。
薬を飲まない状態で、果たして妊活し、妊娠し、そして出産ができるのか。
「気持ちに余裕がなくて(妊活や妊娠が)ダメになってしまうようなことは避けたい」
私自身、薬を飲まない状態だったら家事もできず、食事も満足にとれないだろうな、と思います。
そんな状況では、夫に対しても、お腹の子に対しても申し訳ない気持ちで苦しくなり、自殺することを考えたり、最悪赤ちゃんを堕ろしてしまうかもしれないな、と想像してしまいます。
確かにそんな状態で妊娠するのなら、少しの催奇形性を覚悟して、自分の心身を安定させるのがいいのかもと思いました。
断薬するか、しないか。
「どっちがいいのかは天秤」。
断薬して妊娠すれば、催奇形性のリスクを減らせるけれど、母体はきっと大荒れになる。
薬を飲み続けながら妊娠すれば、心身安定して過せるけれど、催奇形性が増す。
どちらの選択にもメリット・デメリットがあります。
そして、主治医は「今すぐにでも(妊活を)始めても構わない」とのことでした。
「私は、妊娠・出産の間も(ラミクタールを)飲み続けてもいいと思います」
「幸いラミクタールは、他の双極性障害の薬と比べれば、リスクが小さい」
「子どものてんかんでも飲むような薬ですからね」
「安定=くすり+環境」です。
逆にいえば、環境をすごく整えれば、薬を減らすこともできる。
「妊娠を考えるのであれば、妊娠準備として、まず安定した環境を整えて」。
妊娠すること自体が大きな環境変化です。
たとえ薬がなかったとしても、何かトラブルがあったとしても落ち着いて過ごせるくらい、ストレスや変化の少ない生活を目指すことが大切だと知りました。
最終的には、「産婦人科医が薬を止めたほうがいいと言うなら、そちらを優先して」
とのことでした。
産婦人科の主治医の考え方
精神科の主治医の意見を聞いたあと、産婦人科を受診しました。
私は不妊体質と言われたことがあったのと、もし断薬が必要になったら自然妊娠だと妊活中の断薬期間が伸びてしまうと思ったので、最初から不妊外来に行きました。
そこでの主治医の回答は、
「(ラミクタール)を飲みながら妊娠してもらって構わない」でした。
「ラミクタールを飲みながら妊娠・出産した人もいましたから」。
催奇形性があると聞いたのですが、と伺ってみると、
「確かに、飲まないに越したことはないけれど、飲まないとキツイですよね」
と、精神科の主治医と同じで、母体の安定を優先して考えていました。
抗精神病薬や抗不安薬、睡眠導入剤についても、妊活・妊娠中に飲んでも大丈夫ですか、と質問してみたところ、
「飲んで大丈夫ですよ。ただ、薬を飲むということは多かれ少なかれリスクがあることなので、飲まないに越したことはないですが」
ということでした。
共通しているのは『母体の安定』を第一に考えていること
精神科の主治医も、産婦人科の主治医も、薬を飲みながら妊娠することを勧めてくれました。
それは、催奇形性が増してしまう可能性があるけれども、それ以上に、母親が不安定になることの影響の方がリスクが大きいという考えからでした。
私の母は、「あなた(とび太)を妊娠したときは、妊娠する環境としては最悪だった。毎日泣いてたもの。」と言っていたことがあります。
私から想像しても、そんな強いストレスにさらされている母親のお腹で健康に育つのは、胎児も簡単なことではなさそうだなと思います。
私がうつや双極性障害、発達障害の特徴も持って生まれてきたことにも、納得してしまいます。
ストレスがあると、妊娠もしにくいですし、流産などのリスクも上がってしまうと聞いたことがあります。
双極性障害は自分ひとりのことだってコントロールするのが難しいのですから、もうひとりを育て、世話をするのは、相当な負担を背負うものだと思います。
特に、うつにあるときは、心身ボロボロです。
生きているのがやっとです。
そんなストレスでいっぱいのお腹の中で育ったら、たとえ薬を飲んでいなかったとしても、奇形の子どもが生まれる確率だって高くなってしまうかも、と思います。
なので、まずは、母が正気を保って、健康でいられること。
一日中、不安になったりイライラしたり、泣いたり、ストレスを抱えながら妊娠期間を過ごすよりも、薬を飲んで、心身穏やかでいることの方が、お腹の赤ちゃんにとってはいいかもしれません。
精神科医と産婦人科医の意見を合わせて、
私は、ラミクタールを飲み続けながら、妊活、妊娠、出産に挑戦しよう、と決めました。
抗不安薬などの頓服については、できるだけ飲まないつもりですが、どうしてもしんどいときは頼ろうと思います。
おわりに
精神疾患に関しては妊娠を許可する基準やガイドラインがないそうです(飲んで大丈夫?やめて大丈夫? 妊娠・授乳と薬の知識 第2版 | 村島 温子 P.132より)。
ということは、正解は無いということです。
医師によって、どう考えるかも違ってくるかもしれません。
妊娠を希望するか、しないか。
子どもをもつか、持たないか。
それは、人生でとっても大きな選択です。
ましてや、双極性障害の人は、妊娠する際の薬の服用はどうするか、自分は妊娠・出産を乗り越えられるのか、大きな不安と悩みを抱えなければなりません。
どんな選択にも、メリットだけでなく、どうしてもデメリットも含んでしまいます。
大切なのは、自分が『納得していること』だと思います。
最終的には、自分で決めなければなりません。
でも、ひとりで決めなくても大丈夫です。
医師、そしてパートナーと一緒に、じっくり相談してみてください。
自分で調べて情報を集めるときは、「できるだけ新しい情報」を選んでみてください。双極性障害は、比較的認知されたのが新しい病気ですし、新しい薬も、治療法も、年々変わってきていると思います。目安、3年以内くらいに発信された情報がいいと思います。
それでは、最後までお読みくださりありがとうございました。
この記事で記載した内容に誤りがある場合や、実際の経験談などありましたらぜひお聞かせください。
(20190610追記、私の妊活の経過)
不妊治療外来に通い、ラミクタールを服用したまま妊娠OKと言われたので、タイミング法で妊娠を目指し始めました。薬の量は、ラミクタールを1日に200mgです(朝100mg、夜100mg)。この量は変更しない予定です。
200mgから減らさないのは、私の主治医は、「ラミクタールは200mg以上でないと効果がでない」と考えているからだと思います。たとえ減らしたとしても、効果が無いのであればいっそ飲まないのと同じ。逆に言えば、飲むなら、200mgは飲まないと意味がない、ということなんだと思います。
私は、AMH(卵巣年齢)検査の結果、同世代よりも卵子の数が少なく、卵巣嚢腫(皮様嚢腫)とPCOSもあったので、妊娠までは時間がかかることを覚悟していましたが、タイミング法の準備段階で妊娠が判明しました。
「胎児が小さすぎるので流産するかもしれません」と言われて一週間後に受診すると「赤ちゃんいますね」。そして転院した産科では「週数の割に胎児がでかいね」。流産すると言われて一旦は泣いて掻爬を覚悟したのに、今度は大きすぎると言われて、また不安に。でも、そんなショックなことがあっても、うつや混合状態にならず、大丈夫でした。こんな風に、妊娠中のいろいろな予測できない出来事に振り回されないためにも、ラミクタールを飲み続けたいなと思いました。
一喜一憂するなといっても難しいですね。妊娠には、自分の力でどうにもならない範囲が大きい、どんなことも起きる、状況はコロコロ変わる、と大きく構えていることが大事かもしれません。(私自身これからも気分の波に気をつけます…!)
転院する度に、気分安定薬を服用していることについて言及されました。医師に訊かれても揺らがないくらい、自分の意思(奇形が出たとしても、薬を服用しながら妊娠する)を固めておくといいかもしれません。
また、妊娠したことを母に伝えてから、喜んではくれましたが、「薬の服用を止めたら?」と何度も言われ、その言葉を何度も思い返してしまう自分もいます。「子にリスクを負わせている」と責められているようにも感じますし、「障害児はダメ」というメッセージで、障害を持つ私のことも否定されているように感じてしまいます。
もしリスクのある子が生まれた後の苦労を心配して言ってくれているんだと思います。
分かっているのですが、やっぱり不安になりますよね。
(20190626追記)
お産ができる産婦人科に転院しました。
そちらの主治医も、薬に対しては「飲んでいて大丈夫」という姿勢でした。
「産後の授乳できますか?」と訊くと、「できるけれども、もし心配なのであれば他の方法にしてみては」、ということでした。
ネットの口コミをみると、母乳育児に力を入れている産院のようなので、できるだけ母乳を飲ませたいのかもしれません。
私は牛の仕事を経験してみて、産まれて初めてのお乳「初乳」の重要性を感じました。自分の子にも、できれば初乳は飲ませたいと思っていたので、母乳を飲ませてもいいという答えを貰って、うれしく感じました。
(20190728追記)
先日、精神科を受診しました。主治医に「母乳は飲ませても大丈夫ですか」と質問してみたところ、精神科医は「なるべく飲ませない方がいい」という答えでした。
初乳だけでもあげてもいいでしょうか…と聞いたら、OKとのこと。
「ラミクタールは確実に母乳に移行する」「赤ちゃんがぼーっとしちゃうかも」と言っていました。
その意見を受け、今の私の「授乳」に対する考えは、初乳だけ飲ませて、その後徐々にミルクに切り替えてゆく、です。
産院が母乳育児に力を入れていそうなので、産後の入院中は母乳を飲ませて、退院したら少しづつミルクに切り替えてゆけたらと思います。
私自身、母は母乳の出が悪かったらしく、ほとんどミルクで育ったそうです。私は、脳は障害ありですが、体はとても丈夫です。
なので、ミルクで育てることにあまり抵抗は感じていません。
むしろ、夫にも夜間の授乳を手伝ってもらえるので、睡眠リズムを整えたり、しんどいときに誰かに頼ったりできるので、ミルク育児も良いな、と感じています。
幸い、夫も母も実家の家族も、ミルク育児には何も思わないようなので、引け目は感じなくて良さそうです。
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